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瀕死の遭難者を救ったすごい地図

斎藤です。
東京の自宅より。

沖縄から戻ってきて、家でたまたま目についた本がある。
ストーリーとしての競争戦略という少し前に出版されたビジネス書だ。
その中に面白いエピソードがあり、これからビジネスをやろうという人に役立つ内容だと思ったのでシェアしたい。

ある登山隊がビレネー山脈を登山中に雪崩に遭遇しました。
隊員たちは一時的に意識を失ってしまいます。
意識が戻ったときには、背負っていた基本的な装備が失われていました。
一生懸命に自分のボケットの中に何が残っているか探してみたら、ろくなものがない。
食料もチョコレートなどの非常食が少々。
最悪なことにはコンパスもなくなっていた。
その瞬間に、もうわれわれは生きて帰れない、どうやって山を下りるんだ、と隊員たちは暗澹たる気持ちになりました。

ところが、ある人のボケットの中から一枚の地図が出てきました。
これを見ているうちに、だんだん元気が湧いてきました。
尾根がこういうふうに走っていて、周囲の地形がこうなっているということは、どうもわれわれはこの辺にいるのではないか。
今、太陽がこっちから出ている。
ということは、こちらのほうが東ではないか。
とすると、こう行けば下山できるのではないか・・・、と地図の上に道をつけるという作業を始めました。
つまりストーリーを組み立て、それを共有したわけです。
下山の過程ではさまざまな困難がありましたが、登山隊は地図の上につけた道筋を信じて、
それを頼りに困難を一つひとつ乗り越え、奇跡的に下山することができました、めでたし、めでたし・・・という話です。

この話にはオチがあります。
雪崩の情報は麓にも届いていました。
この登山隊が遭難したと考えた麓の人々は救助隊を組織します。
しかし、 上空からの緊急捜索では見つかりません。
連絡もとれません。
状況から考えて生還は絶望的だと半ばあきらめていました。
ところが、そこに登山隊が生きて戻ってきたのです。

驚いた救助隊の人は、登山隊のリーダーに「あの状況で、いったいどうやって戻ってこられたのですか?」と尋ねました。
リーダーは一枚の地図を取り出して答えました。
「この地図のおかげで助かりました」。
救助隊員は笑って、言いました。
「こんなときによくそんな冗談を言う余裕がありますね。これはアルブスの地図じゃないですか・・・」。
驚いた登山隊のリーダーが自分たちが道筋をつけた地図を改めてよく見ると、それは実はビレネーではなくアルブスの地図だった、というのです。

※ストーリーとしての競争戦略、楠木健著、東洋経済新報社(2010年)のP48-49より

ビジネスにおいてはこのとおりに行けば確実に成果が出る、というような正確な地図はない。
でも、多くの人ができるだけ失敗しないように、うまくいくように事前にいろいろと調べ、分析する。
何も調べずにいきなり取り組むのはどうかと思うので、リサーチは当然必要。
ただ、正確な地図を最初から描こうと、あれやこれやとやっていてもある程度までいったら精度はもう上がらない。
いくら調べても実際にやってみないことには分からないのがビジネスだ。
正確さを追求するよりももっと大事なのは本人の意思。

ゴールを信じて前に進み続けられるかどうかがポイント。
最初は間違った地図であったとしても途中で修正しながら、ゴールへと進んでいける。
迷路で行き止まりになっても、また分岐点に戻って別の道を進めばやがてゴールに近づく。

ちなみに、コンピュータの計算では、そうやって正解を見つけていくケースがある。
何らかの法則があって数式で求められる答えでない限り、片っ端からあたっていって正解に近づいていくのだ。
効率的にどうやって最短で正解に近づけるか、ということはいろいろと研究されてはいるが、基本、数打ちゃ当だる作戦。
ただ、コンピュータの場合、数を当たるスピードが人間とは比べものにならない。
なので、異常なほどのスピードで正解にはたどりつくが、やっているのは単なる試行錯誤。

人がビジネスに取り組む際も、初めから正確な地図が用意されているのではなく、試行錯誤して成果を上げていく。
正確さにフォーカスするよりも、今よりも一歩前に進むこと、成長していくことによって成果につながるというところにフォーカスしたい。

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